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2.植物の必須要素(多量要素・微量要素) 
カルシウム(Ca):細胞組織を強化し、根の生育を促進します。過剰症はでにくいですが、土壌の酸性化を防ぐために石灰を多量に施用すると、マグネシウム、カリウム、リン酸の吸収を抑制します。不足すると、トマトの尻腐れ、キャベツや白菜などの芯腐れを起こします。カルシウムの欠乏症は窒素過多、水分不足で発生しやすいといわれています。

マグネシウム(Mg):光合成に必要な葉緑素の構成元素で、根のリン酸の吸収や運搬を助けます。過剰症はでにくいですが、植物による吸収量が比較的多く、葉脈間クロロシス* の形成などの欠乏症を起こしやすい元素です。マグネシウム欠乏には葉面散布が効果的といわれています。また、カルシウムと同様に土壌のpH調節剤として施用されることもあります。

*葉脈間にみられる黄化現象のこと。葉脈の緑色は残るので、葉全体は網目状に見えます。

硫黄(S)
:タンパク質、アミノ酸、ビタミンなどの合成に欠かせない元素で、葉緑素の生成を助ける働きもあります。不足すると、全体的に生長が悪くなり、古葉から黄化してきます。また、植物自体に過剰症はみられないものの、土壌の酸性化や、老朽化水田では硫化水素発生の原因となります。

ここまでが多量要素と呼ばれ、植物が比較的多く吸収する元素です。植物そのものの構成元素になるものが多く、食事に例えると、主食・メイン料理にあたるのではと思います。


さて、これより微量要素を紹介します。
微量要素は必要量は少ないですが、植物の生育に不可欠であり、その量が多くても少なくても、様々な生育障害が起こります。微量要素には以下の7元素が認められており、これも食事に例えると、副菜にあたると思います。

鉄(Fe):光合成に必要な葉緑素の生成に関与します。アルカリ性土壌で鉄欠乏が起こりやすく、新葉から黄化してきます。畑作作物では過剰症はでにくいですが、ナスの鉄さび症、ユリのスミ症(土壌pH4.8-5.5)などがあります。

マンガン(Mn):葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成に関与します。アルカリ性や有機物の多い土壌で欠乏が起こりやすく、また、みかんや柿などの異常落葉はマンガン過剰症の一つです。これらの症状を回復させるためには、土壌の条件、特にpHを調整する方法がとられます。


ホウ素(B)
:水分、炭水化物、窒素代謝に関与し、根や新芽の生育を促進します。土壌中のホウ素は雨とともに流れやすく、pHが高いと植物が吸収しにくくなります。大根などのアブラナ科野菜はホウ素必要量が多く、不足すると赤しん症などが起こります。過剰だと、葉が黄色や茶色になります。

亜鉛(Zn)
:葉緑素や植物ホルモンの生成に関与します。不足すると、葉が小さくなったり、変形、葉脈間に黄色い斑点が生じます。また、微量要素の中でも過剰症がでやすい元素で、新葉の黄化という形で現れます。

モリブデン(Mo):窒素の消化吸収(アミノ酸、ビタミンCの合成など)を助ける元素で過剰症はでにくいです。しかし、酸性土壌では欠乏症が起こりやすく、葉の湾曲や黄色い斑点ができたりします。

銅(Cu)
:植物体内の酸化還元、葉緑素の形成を助けます。不足すると、葉に黄白化、褐変、よじれなどが生じ、果樹には枝枯れなどの欠乏症が現れます。過剰だと、根の生育が悪くなり、古葉の黄化や、鉄の欠乏も誘発します。

塩素(Cl)
:光合成やでんぷんなどの合成に関与します。不足すると、葉の先端が枯れ、やがて青銅色に壊死します。また、よく知られている塩害は塩素の過剰吸収ではなく、塩類の高濃度障害のことです。


図に示したように、必須要素以外にケイ素やナトリウムという元素があります。これらは
有用元素と呼ばれ、必須ではありませんが、与えると植物の生育を促進するといわれています。また、これらを必要とする植物は決まっており、ケイ素は主にイネが、ナトリウムはサトウダイコンなどが多く必要とします。

ケイ素(Si):イネ科植物が多く必要とし、ケイ素の施用でケイ化細胞が増えると、植物体は病気や虫に強くなり、倒れにくくなります。


下図に植物の働きを簡単に示します。植物は、光のエネルギーを使って、大気中の炭酸ガスや土壌中の窒素分など(
無機物)を、炭水化物やタンパク質(有機物)に変えることができ、そのときに酸素などをつくります。動物にはこれができないので、植物が作った有機物や酸素を取り入れて、栄養の補給や呼吸を行っています。つまり、私たちが生きるためには植物のこの働きが欠かせないのです。

それと同じように、植物が元気に育つためには栄養が必要であり、それを助けるのが
肥料です。土壌に不足しがちな元素を補い、植物に必要なものをバランスよく供給します。ここで注意したいのは、与える量です。上で述べたように、多くても少なくても、植物の生育を阻害してしまいます。なかなか難しいですが、植物が出すサインを見逃さず、適切な時期に適量を与えることが大切です。大袈裟かもしれませんが、植物の元気は私たち動物の元気につながるのです。 
 

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